本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本

本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本

本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本

非常に面白いコンセプトで作られた本です。たまには,こんな本を読むことは非常に重要です。クリエイティブな感性が刺激され,新たなアイディアが浮かんでくるような気がする。そんな本です。本書の中にも書かれているが,表も裏もない。赤い「本」と書いてある方から読めばブック・コーディネーターとしての著者,青い「仕事」と書かれている方から読めば著者の仕事観を知ることが出来る。「本」と書いてある方は縦書きでキレイな紙。「仕事」と書かれている方は横書きで安めの紙。そして,本書を買ったらブックカバーも外してみて欲しい。そこにも著者の感性が感じられることだろう。本当は表も裏も無い本を目指したということで,どちらがわにもバーコードを付けたかったみたいだが,本の流通システムによってその願いはかなわなかった。どちらかというとブックカバーを外したところで実現させても良かったのかもしれない。そのほうが本当に実現したかった本を作成することが出来ただろう。そんな本書自体がもしかすると,ブック・コーディネーターとしての仕事の一つの作品という位置づけなのかもしれません。
まず「本」の方は,「本」をキーワードとしたコンセプト集と言ってしまっては良くないと思いますが,例えば書き込みがされた本は本当に元の本の価値を下げているのか?という常識を覆すような視点から利益を度外視した新たな形態の本屋が紹介されていたり,美容師が本を切り刻んだ作品等,キレイな写真付きで紹介されている。視点が非常に面白く,タダ関心するばかりだ。
また「仕事」の方で語られる著者の仕事観は本当に面白いのだ。競争社会に慣れ,充実している人にとってはとても軟弱な思考に感じられることだろう。ただ私のような自分探しをすぐに始めてしまうような人にとっては,一度目を通してみると面白いと思う。
「お金をもらう仕事」「お金をもらわない仕事」。そして「お金をもらう仕事」「お金がもらえてしまう仕事」。「時間でお金がもらえる仕事」「成果でお金がもらえる仕事」。このような軸を使いながら,自分がどういう方向に進みたいかを視覚化してみることも非常に重要だろう。また,「やりたいこと」を考えるとなると少し身構えて,あーでもない,こーでもないと悶々と考えてしまう事もあるが「なりたい感じのイメージ」と言い換えることで,何かゆるい感じになり,気軽にイメージを変更したり柔軟な対応が可能になる。単なる言い換えなのに面白いですよね。
クリエイティブな刺激を受けたい人にも,自分探しを続けている人,今の生活に満足していない人が読むと非常に良いだろう。

本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本

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