グーグル的思考

グーグル的思考

グーグル的思考

ジェフジャービスによるGoogle愛満載の本だ。Googleの登場によりインターネット上の主導権は既に消費者に移行され、同じ意見を持つもの同士が一致団結し、それが脅威にも味方にもなる時代だ。マスマーケットというものは既に崩壊したのかもしれない、そして本書のタイトルにもあるとおりGoogleならどうする?という一言の問いかけが、もしかすると新しいビジネスアイディアを生むかもしれない。また、何らかの期待をもって検索してきた人に完結な答えを用意しておくことで沢山のリンクやツイートが生まれ、アクセスが増える。そんなGoogleジュースを飲むことが出来る時代でもある。Googleが行っているのは組織化と知識のビジネスだという。
Googleの登場により最も影響のうけた産業は広告の分野だ。次世代広告代理店創設を目指したトバコワラはGoogleから以下の5つの教訓を得た。
1.新しい才能を入れる(広告代理店は常に新鮮で革新的であるべき)
2.新しさ(サービス事業は、取引をする相手に合わせて自らの形態を変容させなくてはならない)
3.データ(正確な顧客把握)
4.本業以外で儲ける(本当に価値有るものは本業の活動とは別のところから生まれるかもしれない)
5.ユーザーに集中すれば、ほかのものはついてくる
もちろん単に広告などの戦略を打つ前にサービスの確率が重要だ。トバコワラ氏はこうも述べている。「戦略について語る前に、まずは確実に良い商品やサービスを作る。優れた顧客サービスを確立する。この二つこそ、広告の二大柱だ。この二つがない場合は、何にも誰にもお金を使ってはならない」
本書ではGoogleならどうする?という言葉を元に、現在Googleの影響が軽微または皆無の業種に関してもGoogle的思考をすることを試みている。もちろん一つの業種数ページという状態なので深く考察されてはいないが、何かを考える切っ掛けにはなるとおもう。
小売、広告の観点では非常に有益な情報が詰まっているのではないかと思う。やはり再度考察しなければならない点はワインバーガーの述べる「統制と信頼は反比例の関係にある」という点でしょうか。自分が主導権を握れば握るほど相手からの信頼は薄れ、相手に主導権を与えれば与えるほど信頼は深まる。という事です。サービスを展開するうえで、やはりどこかに統制を残している。その状態ではユーザー同士の広がりはなかなか望めないし、新しいサービスやアイディアは生まれてくるはずもない。便利なものを作り、ユーザーがそれを使う手助けをし、邪魔をしないことが重要だと再度認識した次第だ。