おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由
後半の対談集のみ読む価値あり。
あえていうならIT文化論
ソフトウェアの技術者におもろい本
ユーザ・エクスペリエンスと「おもてなし」、そしてその次へ
アスキー・ラボラトリーズの所属やマイクロソフト日本法人設立,WindowsやInternet Explorerの開発に携わってきた筆者が語るUser Experienceに関する書。User Experienceを「おもてなし」と訳すというものは初めて聞いたが,本書内に書かれているアップルの例を見ていると,User Experienceこそ,日本のメーカーに欠けているものなのかもしれないと感じた。またネットサービスについてはこれからUser Experienceを考えていかなければならないのではないかと思わせるものだ。
本書の半分は対談,残りも中島聡氏自身の遍歴が記述されているけれども,なぜiPhoneやiPod流行ったかというと,それは「User Experience」というキーが他社にはなかったし,発想自体が存在しなかったのではないか?と思わずにいられない。技術的にはiPodやiPhoneを作る力は日本だけでなく,他国企業も持ち合わせているだろう。今年発売したMacbook airに関しても,中身は無駄だらけという評価がネット上で流れるなど,日本では技術そのものに関して目がいっており,そういう評価を流すことでシェアをとられまいとしているのかもしれない。確かにMacbook airより軽いノートパソコンはあるし,技術的に何か飛び抜けているというものではないのかもしれない。ただ,日本の各メーカーがUser Experienceを提供しているのか?と言うと,そうではないのだろう。そこにアップルの強さがあり,iPod一つをとっても買ってうれしい,開けてうれしい,使ってうれしいという世界を築くことが出来ているのではないだろうか。
まだまだ次を目指して走り続ける中島聡氏を今後も見守っていきたい。