ヒット商品を最初に買う人たち


ヒット商品を最初に買う人たち

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書評/ビジネス

 本書は内容が浅く、平易に書いてあるといえばそうなのだが、心理学的な側面を中心に書かれている。マーケティングの内容はほとんどなく、ヒット商品が生まれるまでの顧客層を「イノベータ」「アーリーアダプタ」「フォロワー」の3種類にしか分けていない。

 3つの説明としては

  • イノベータ:流行を先取りする人
  • アーリーアダプタ:「ウケ狙い」の人たち
  • フォロワー:非常に慎重な人

 とある。製品販売における導入期、成長期、成熟期、衰退期はこの3つの属性の人々がどのくらいの割合で購入しているかをグラフ化し、「L字型」など、特定の形式となっている場合は、その製品が導入期から成長期へと移行している段階であると判断されている。
 また、人の購買行動は心理学的に説明され、マズローの5つの欲求やヤンケロビッチの5つのヒエラルキーなどにより説明される。しかし、人間の欲求などの説明だけでは、もはや商品は売れないだろう。そういう意味においては、非常に古い知識で語られた本といわざるを得ない。
 価格面で言えば、端数価格や威光価格、慣習価格などの戦略があるし、顧客のニーズに関しても名言されたニーズから隠れたニーズまで、様々な階級があり、それをうまく分析・汲み取ることによりマーケティングを行っている現在において、本書の内容ではあまりにも弱く、また実際の戦略には結びつかない。マーケティングを学ぶにあたり、導入の書としてはよいかもしれないが、本書でマーケティングの知識を深めようと思うのは無理がある。
 本書は読みやすく、簡易に書かれており読むのに時間もかからないため、空き時間にさらっと読むのにはもってこいの書である。
 最後に、本書で描かれているイノベータの特徴(P.64)を下記に記す。

  • 商品知識が深い
  • 支出額が多い
  • 直感で決める
  • 好奇心が強い
  • 自己実現に基づいて行動する