CGMマーケティング 消費者集合体を味方にする技術


CGMマーケティング 消費者集合体を味方にする技術

livedoor BOOKS
書誌データ / 書評を書く


この本を紹介するにあたり、皆さんに問いかけたい。 「CGMからの脱却は将来もあり得ないのか?」ということである。

まず、タイトルの一部になっているCGMの定義から見ていきたい。本書の8ページあたりから定義が書かれているが、筆者によると、「Web2.0」というキーワードの中にはCGMという概念が内包されているという。つまりCGMは「Web2.0」であるが、「Web2.0」はCGMとイコールではないというわけだ。また、CGM「一般的には」というくだりのあと


個人が作成または見つけ出した情報を投稿(Web上にアップ)し、発信されるコンテンツの総称

と述べられている。しかし、その後

テキスト、画像、動画、あるいは音楽などを個人が意識的にWebへ投稿することで生成されたメディアすべてをCGMと呼ぶことができる。

と述べられている。ここで「2ちゃんねる」もCGMなのだと述べるのである。その後、次のようなくだりもある。
(P.10)

複数の人間が自分で作り出した情報を、インターネットを介して共有し、ほかの人間へ影響を与えながら進化していく過程が多く見受けられる。こうした現象自体がCGMそのもの
(P.13)
誰でも簡単に世界に向けて情報(CGM)発信ができる世界

と述べられ、一般的に言われるCGMと同じ概念では用いていないことがわかる。こうしてみると、CGMは「情報」であり、CGMでないウェブサイトは全く存在しないのではないか?と思うと同時に、ずっと「Web2.0」の世界であり続けているのではないのか?と感じるのである。

Googleページランクの説明として、被リンク数で成り立っていると述べることや、Amazonのサイトそのものをマッシュアップサイトであると述べることから、自分の認識とは大幅にかけ離れた内容であった。本書でいうマッシュアップとは、単に“一つのサービスにほかの人が情報を付加するもの”という程度の定義であろう。私の中でマッシュアップといえば、複数のAPIを組み合わせて、一つのサービスを作り上げるものであると考えている。

そのほか、“RSS Feedする”と動詞で語られていた部分にもひっかかった。

本書を読んで、様々な言葉の定義を再度考えさせられ、CGMとは何ぞや?という根本的な部分を考えざるをえなかった。

本書はITmediaで連載をされていたものを整理したものとなっているため、終始CGMについて語られているわけではない。ブログの炎上に関しても述べられているので、ブログを運営する上で


ネットの世界でも、目の前に人がいるのと同じ結果が起こり得る

という彼の言葉は、非常に重要であると感じるとともに、心に常に置いておかなければならない概念なのではないかと考えている。この書評も。。。

ライブドアに在籍していたため、ライブドアで行っているパブリックジャーナリストについてや、「やわらか戦車」などの例をあげながら、語られている本書であるが、CGMの未来ではなく、CGMの現在しか見ることができませんでした。