グーグル八分とは何か


グーグル八分とは何か



グーグル八分とは何か

  • 作者: 吉本 敏洋
  • 出版社・メーカー:九天社

昔からいろいろと名前の出る悪マニの管理人、Beyond氏の著作。
Google8分の被害者である著者が語った一冊。そして、他にGoogle8分されているサイトをあげ、かつ8分されているサイトの内容を掲載するという、本という性質を活かした構成となっている。
これを読んでいて、やはりGoogleは民間の営利企業であり、他の法人より削除要請が来た場合、だいたいは要請にこたえるのではないだろうか?と感じた。個人が名誉毀損で訴える場合には、かなりの有名人などではないと、資金力も足りず、訴えを起こすことが難しい。しかし、法人であれば別である。法人が法的手段に訴えるといった場合には、現実味が非常に高くなる。Googleもその訴えられた場合のリスクや賠償責任を考えると、やはり削除要請にこたえるしかないのだろうか。いくら悪徳な企業であろうが特に関係はなく。。。日本で言えば、たとえばアメリカ法人から日本法人の売上が悪いなどと言われているのだろうか?そのため、賠償責任を恐れるなど。。。
Google8分されたサイトを見ていると、削除要請した企業が見え隠れする。そして申請した意図も見え隠れする。
本書ではBeyond氏の主観ではなく、なるべく客観性を保とうと様々な側面からGoogle8分を捉え、その根拠などを探ろうとしている。実際にGoogle8分されているサイトが1,000を超えているとは初めて知った。公にそういう情報は見たことがなかった。ほとんどGoogle8分は起こっていないのではないか?と考えていた。
Googleの検索は各国で大いに利用され、検索ツールとしてのシェアは非常に高い。私も検索ではGoogleしか使わないので、Google8分に関しては頭の片隅に置いておかねばならない。ウェブの世界は検索なしには、見たいサイトにたどり着かない。大きな図書館でも、興味のある本を探すために、図書館内の図書がどこにどのカテゴリが置かれているのかを知らなければ、調べることはできない。また図書館において蔵書検索を行うことで、場所を特定することができる。大量の情報の海を検索するために、Googleで言えばGoogle Directoryなどのサービスは存在するが、自分が見たいと思う情報をピンポイントで探すには検索を行うしかない。このような状況下で、実は読みたい情報が削除されていたなどとなると、ヒットしたサイトのみの非常に偏った情報しか手に入らない。
だが、一方で大量にあるウェブの中で、数千のサイトだけだと考えれば、非常に小さい気がする。少し話は違うが、“中東で撃たれる事を恐れるより、今の社会で交通事故に合わないように気をつけろ”なんて言葉があった。Google8分を恐れる前に、現実問題に気をつけろなんて言えるかもしれない。
話は反れたが、本書で言いたいことはGoogle8分自体が悪いわけではないが、理由を明確にされないGoogle8分に関する批判である。Google8分でもスパム行為に対するものは全く問題はないし、著者も行うべきであるという立場である。しかし、企業などからくる削除申請について、明確な基準などが提示されず、かつ削除される側に何の連絡もなく突然として消えること、このことに対しての批判である。
昨今、GoogleYouTubeを買収したが、その際に訴えられても大丈夫なように弁護士の数を大幅に増やした。それくらいの勢いが検索分野にも欲しいと思う次第である。