RSSマーケティング・ガイド 動き始めたWeb2.0ビジネス

RSSから始まるウェブサービス

RSSの役割,重要性は2006年と何ら変わらないと思っているが,それでもRSSはその言葉からか普及しているとは言い難く,インターネットを利用している人の一部分の人が利用しているものに過ぎない。インターネットで自分の知らないこと,わからないことを検索するだけの人ではなく,ブログで積極的に情報を発信する人や主にインターネットでニュースや情報を得ようとする人,ウェブ上での話題の流行を求める人にとって,RSSは重要なツールとなるだろうし,主に現在RSSリーダーを利用している人はそのような人がほとんどではないか?と感じている。つまりウェブ上でのイノベーター,アーリーアダプター,そしてアーリーマジョリティの一部分となっている,またはなろうとしている人々が多いと考えられる。ウェブサービスを提供する場合,現在インターネット,そもそもパソコンを利用しない人や利用する必要性を感じていない人に対し,そのウェブサービスをアピールすることでインターネットの世界へ誘う事は非常に難しいだろうし,パソコン操作そのものが問題となってくる可能性もある。もちろんAjaxFlashを用いることで直感的な操作が可能となり,それにより乗り越えられるものもあるだろう。しかし,ウェブサービスを展開しようとする場合,そのようなインターネットの世界をこれから体験する人ではなく,既にインターネットを利用している人に対してアピールするべきだと考えられる。その上でRSSを積極的に利用しているイノベーター,アーリーアダプターの存在は一目置く必要があるのではないかと思うのだ。
これはRSSRSSリーダーそのものが一般的に普及していないと言うことを特に負の要素として捉えないということを意味している。RSSを利用せず今までのようにBookmarkで済んでいる人に対し,RSSの必要性をこんこんと語ったところで何ら意味はない。むしろRSSリーダーを使っている人の属性を捉え直し,マーケティングのツールとして積極的に利用するべきなのではないだろうか。

マーケティングの観点から見たRSSの役割

バイラルマーケティングやバズマーケティング。所謂ウェブ上の口コミだが,RSSがウェブ上のイノベーターやアーリーアダプターに向けて発信されているとしても,その発信された情報がイノベーターやアーリーアダプターが運営するウェブサイト,ブログの1コンテンツとならなければあまり意味がない。現在は雑誌でも広告と小さく書いてあるが一つの雑誌の記事として同化しているものがある。ウェブ上では「広告」とうたわれず,あくまでコンテンツの面白みやデザイン,話題性やクリエイティブ性などによってウェブサイトやブログ上の一つのコンテンツとなることがある。というより自分が見聞きした内容以上に,ある意味,そのウェブサービスや商品,企業の広告塔となっている記事の方が多いのではないか?とさえ感じてしまう。そんな状況になっていると思われるが,RSSで配信するからには,その配信された情報がウェブサイトやブログ上の1コンテンツとなるようでなければその後のアーリーまたはレイトマジョリティーに伝播することはない。
また,本書ではメールマガジンについて記述されているが,私個人としてはメールマガジンは早いうちにRSSに取って代わられるものだと考えている。メールマガジン開封率や閲覧時間については以前から様々なアンケート等の結果によって論じられているが,1つのメールマガジンの閲覧時間は1分程度となることが多い。
メールマガジンの大部分は前半に目次があるにせよ,1通のメールで伝えるものは多い。複数の商品,複数の記事。そしてメールのタイトルはその代表の記事,または現在行われているキャンペーン等の内容。しかし,RSSでは1つの記事に対して概ね1つの事が語られるのが普通なのではないだろうか。RSSではタイトルに興味のわくものだけ開封し,それ以外は開封する必要がない。だがメールマガジンは1回のメールのタイトルに興味がわかなければ開封されないかもしれない。メールマガジンRSS開封率を比較する意味は全くないと考えているが,RSSで配信すれば興味を持ってくれる内容がメールマガジンで沢山の商品,サービスとまとめたがために開封されもしないという事は往々にしてあるのではないかと思うのだ。

B to Cの一方向のメールはRSS

メールマガジンもそうだが企業側から顧客への1方向のメディアはRSSで提供されるべきなのではないかと考えている。まだRSSはそれほど普及しているとも言えない。普及していないことを負の面と捉えないとも主張したが,現在のメールでB to Cの1方向のみで利用されている部分,つまりメールマガジンや何らかの通知,連絡事項などはすべてRSSにて提供されるべきなのではないかと考えている。それはメールが絶対に相手に届くものではないと言うことが最たる理由であるが,メールの遅延も防ぐことが可能である。
もちろんRSSで提供したからといってメールがなくなるわけではないので,迷惑メールは従来通り存在するだろう。ただ,通知を確実に遅延なく行うことが可能となり企業側にとってそれはメリットとなるのではないだろうか。ただメーラーThunderbirdのようにRSSメーラーで受信し,その企業からの通知であることがはっきりとわかる必要はあるかもしれない。

携帯こそRSSの力をかりるべき

現在はパケット料金が定額プランを利用する人が増えているのかもしれないが,それでも毎回ブックマークから呼び出して見るだけではなく,ブックマークすると同時にRSSを配信しているような携帯ブログなどはRSSのアドレスも一緒にブックマークされ,"ブックマークしたサイトの新着記事"ということで,RSSリーダーのように記事の一覧を携帯端末で見せるという方が面白いと思う。
携帯だからというわけではなく,もちろんPCのウェブブラウザでも同様にブックマークへ登録すると同時にサイトでRSSが配信されていれば自動的にURLを取得し,ブックマークしたサイトの新着記事のみをピックアップして一つのページに見せる事も可能だろう。もちろん携帯のキャリア等でRSSの情報を管理,運営しなければならなくなることを考えると難しいのかもしれない。
だけど,もうそろそろ「RSS」とか「RDF」とかそういう言葉はやめませんか?って思ってしまう。その言葉は専門用語として技術,開発の人だけが使う用語としてあげていいのではないだろうか。


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